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鈴はその光景に絶句しながら足音を殺し久遠に近づいた。
そして脛の部分、俗に言う弁慶の泣き所に思いっきり蹴りを入れた。
「イッッテ────────!」
久遠は突然の襲撃になにも反応できず、もろに蹴りを食らった。
そして料理人の意地なのか蹴られた足を押さえながら火を消した。
「おまっ、飯作っているときに蹴り入れんな!アブねーだろ!!」
痛みが取れ、ようやく出てきた久遠の言葉は家事などの心配だった。
鈴はそれを鼻であしらった。鈴にとっては家事などの心配より重大なことが目の前にあったからだ。
「なんでアンタがここにいるの?」
家事の心配より重大なこと。
それはここにいるはずがない人間が目の前にいて、料理していることだった。
鈴の記憶を振り返る限り、扉を閉め忘れていたということはなかった。
扉はオートロック式で鈴は鍵がかかった音をしっかり聞いていた。
「なんでって・・・・・・・飯を作るため・・・・?」
疑問形で返された答えに鈴はイラつきを覚えながらさらに問い詰める。
「鍵は渡していないはずよ。
どうやって入ったの?不法侵入の罪で警察に突き出すわよ」
「オレは後見人だ。
お前の部屋に入っても問題ないだろ?」
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