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「そっかぁ…そーいえば向原君…やったっけ?下の名前何ていうん?」
「ん?向原利明」
そう、答えると彼女はふーんとそっけない返事をして、
「そーかぁ…ま!多分もう話す事はあらへんやろうけど!」
と、彼女は笑みを浮かべながら言った。
「ん?何で?」
と聞くけど理由ぐらい予想はついていた。
「私と話してたら変な目で見られるで?」
彼女は呆れた様子で俺に言う。
そんなこと言われなくたって分かっていた…でも
「お前さ、ここに思い出作るつもり無いんだよな?でも、このままだとぼっちでずっと過ごすっていう悲しい思い出が出来るぞ」
俺は笑いながら言った。
なんでこんな事を言ったかは分からないが自然と出たのだ。
「…別にええわ…あと少しなんやから…」
彼女は相変わらず笑みを浮かべていたが今度は哀愁漂う笑みだった。
「その少しをもうちょっといい日?まぁ、思い出には残らない程度の平凡な日常を過ごすつもりは無いのかい?」
また、俺は自然と変な事を言っている。
でも、不思議と恥ずかしい気持ちや言ってしまった後悔は感じなかった。
「…向原君…あんた変わっとるわ」
星野は笑った。
俺もそう思う。そして
「星野には言われたく無いかな?」
と、言い返すと
「ん?今何か言うたか?」
と、口元の笑みが崩れないまま鋭い眼光が光った。
「いえ、なんにも!」
その時コイツはやっぱり怖いと再認識した。
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