大樹の丘

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 途端、満足そうに小さな口をもぐもぐ動かすショコラ。  シンヤはショコラの頭をよしよしと撫でると、トレンチコートの裾を翻しながら立ち上がる。 「ショコラ、そろそろ行こうか? もうすぐ村があるから、ショコラは人間の姿に変身して」  シンヤがそう言うと、ショコラがこくんと頷き、ぽんっという音ともくもくした煙を立て変化した。  煙の中から、白地にピンクのフリルとリボンのついたドレスを着た、チョコレート色の髪と瞳の8歳位の女の子が現れる。  ふわふわの髪の横で金の髪留めが光っていた。 「シンヤ、ショコラどう? 大丈夫? 人間に見える?」 「うんうん、大丈夫。誰もショコラのこと魔物だなんて分からないよ。どこから見ても可愛い女の子だ」  見上げるショコラのピンク色の頬をつんつんと突っつくと、シンヤはリュックを背負う。  そして、大きな長方形の木の鞄を手に下げると、反対の手でショコラの手を握った。 「ショコラ、野菜のシチュー食べたいな」 「はいはい、あるといいね」  シンヤの手を揺らしながら、ショコラが無邪気な笑みを浮かべる。  シンヤは優しい眼差しでショコラを見下ろすと、のんびり丘を下り始めた。
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