5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとうございます。今晩一晩お世話になります」
シンヤがにこやかに礼を述べると、ヴィアの顔の皺がますます深くなった。
「今、男たちは羊に餌を食べさせるため草原に出ているけど、戻って来たら皆に旅の話を聞かせてね?」
「はい、喜んで。色々ありがとうございました」
トリテの要望に快く応じると、トリテは手を振って去って行く。
それを合図に村人たちも三々五々仕事に戻り、ヴィアだけがその場に残った。
「さぁさぁ、うちはこっちですよ。疲れたでしょう? お茶でも淹れようかね」
「ああ、それは嬉しいです。お願いします」
ゆっくり歩くヴィアの後ろを、きょろきょろするショコラの手を引きながら、シンヤはついて行く。
建ち並ぶ小さな家々と、窓辺に飾られている色とりどりの可愛らしい花々。
のどかで、暖かな昼下がりだった。
「さぁ、着きましたよ。我が家へようこそ。まずは、部屋に案内しましょうね」
「お邪魔します」
村の中央から少し外れた一軒の白壁の家。
ヴィアが扉を押し開いて、シンヤとショコラを招き入れる。
パッチワークのカバーが至るところにかけられ、明るくカラフルな室内。
最初のコメントを投稿しよう!