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その奥へと、ヴィアはふたりを案内した。
「ここがあなたたちの部屋ですよ。部屋は毎日掃除しているから、安心してちょうだい。今、お茶を淹れて来るからね」
「ありがとうございます」
「おばあちゃん、ありがとー」
ずっとシンヤの後ろでもじもじしていたショコラが、はにかみながらお礼を言うと、ヴィアは目を細めて頷く。
ヴィアが部屋から出て行くと、早速ショコラはふたつあるベッドのひとつにぽすんと腰かけた。
ショコラの口からふぁっと小さなあくびが漏れる。
「ショコラ、眠いだろう? お昼寝したら?」
シンヤが部屋の隅にリュックを、そして枕元に大事そうに木の鞄を置きながら、ショコラを促した。
「ちゃんと夕食前には起こしてあげるから、ね?」
「うー……約束だよ? 野菜のシチューも頼んでくれる?」
「はいはい」
少しぐずった様子を見せたショコラだったが、シンヤが掛け布団をめくり、ぽすぽすとベッドを叩くと、素直に中に入る。
あっという間にすやすやと寝息を立て始めるショコラ。
「おやすみ、ショコラ」
シンヤは、ショコラの柔らかい髪を数回撫でると、ショコラを起こさないよう静かに部屋を出て行った。
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