あなたと優雅なティータイムを

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 ホワイトデーの今日。  大仕事を終えた私は部屋で一人、右手で花柄のティーカップを傾け、大好きな紅茶をいただく。  アールグレイの甘くほろ苦い香りに包まれ、ほっと息をつく。  テーブルの上に置かれたもう一組の花柄のティーカップの中には、飲みかけの紅茶が揺れている。  今日、ちょっぴり大人の階段をのぼった可愛い妹分は、今ごろアールグレイみないな真っ赤なほっぺで、私の弟にとびきりの笑顔を見せているに違いない。  その様子を思い浮かべるだけで、もう頬がゆるみっぱなしになってしまう。    ああ、我が子を木の陰から見守る母親って、きっとこんな気分なんだわ!  妹分のいずみが弟に告白をしに部屋を出て行ってからというもの、私は妄想してはにやにや、ということを繰り返していた。  そうしてたっぷり妄想をしたら、やっぱりこう叫ばずにはいられない。 「青春いいなあ、青春!」  そして青春の余韻をかみしめながら、また紅茶をひと口。くー、たまらんねっ!  ちなみに、私と弟は双子なので、私も高校生。ネット上のSNSとかでもっと年上の女性と間違われることがよくあるけれど、れっきとした華の十代なのです!   十代なのです!!  大事なことなので、二回言いました。
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