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なんでユカリがここに……逃げたはずじゃ
「ん?なんだ、また玩具がひとつ増えたな」
ズィーベは、レミを踏む力を緩めユカリの方を向く
「……ユ……逃…て」
ユカリに逃げるように言いたいが、まったく声が出ずようやく絞り出した声も掠れる
「友達を見捨てて逃げるなんてできないよっ!レミちゃんがいじめられているとき、本当は助けたかった。けど、私まで標的にされるのが怖くてできなかった……けど、もうそんな自分は、いやだ。と、友達になったんだもん。もっとお話ししたいよ!」
………ユカリ……バカ………だれも……そんなこと……頼んでない……
ユカリの言葉が嬉しくて涙がこぼれ落ちる…
「おーおー、感動だなぁ。泣けてくるぜぇ………そんなにお喋りしたいなら。仲良くあの世でお話ししな。ダーク…レーザー」
ズィーベは、ユカリ向かって上級魔法を放つ
「…………」
ユカリ!逃げて!そう叫ぶも声は出ず、魔法は無慈悲にユカリに向かって迫る
ユカリは……ユカリだけは……殺させない!
そう強く思った瞬間、私の中にある何かが砕ける
突如、レミの体から勢いよく魔力が吹き出し、ズィーベの放った魔法をかきけし、ズィーベの足を弾き飛ばす
「なっ……なんだ……こいつは……」
ズィーベは、後ろによろめきながら、レミからあふれでる魔力を凝視する
「れ……レミちゃん……」
ユカリは、目の前で起こっていることが信じられず、腰を抜かしてその場にへたりこむ
「ユカリは……殺させない……」
レミは、ゆっくりと立ち上がり殺気のこもった目でズィーベを睨み付ける
「さっきまで瀕死だったのに、面白い。最高の玩具だなぁおい。そんなに守りたきゃ守ってみせな!」
ズィーベは、再びユカリに向けて魔法を放つ
「身体強化:光」
レミは身体強化を使い、魔法よりも早く動き、ユカリを抱いてその場を離れる
「ユカリ、大丈夫?」
闘技場を一旦離れ、巻き込まれない場所まできたレミはお姫様だっこをしているユカリに聞く
「あ……その……ありがとう」
ユカリは顔を赤らめ、恥ずかしそうにそう言う
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