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今日は、朝からついてない。
夢愛学園高校を卒業して、大学生活4年。
念願の勤務先への切符を手にし、厳しい研修も終えた。
今日は初めての出勤日だったのにっ!
なのに、なんで?
かけたはずの目覚ましは、電池切れ、
母は、今日に限って、なぜか起こしてくれない、
朝食抜きで、朝シャン優先したら、ドライヤーが壊れる
おまけに、目が痛くてコンタクトが入らないし、探してた眼鏡は、見つからない、
結局、度数の合わない
" いつの眼鏡だよ? ”
みたいなのをかけて、出勤するはめになった。
さらに、バスに乗り遅れて駅へと走りながら、息を切らす。
初日はバッチリ決めたかったのに、
あぁ、もう、ストッキングまで伝線して、もうホント最悪。
なんとかギリギリで滑り込んだ会社。
頭はボサボサだけど、構ってられない。あまりの形相に、上司もポカンとしてたけど、そんなの知らない。
間に合ってよかった~
神は私を見捨てなかった、感謝します。
両手を合わせ、祈りを捧げる。
そして、案内されたフロアで、この負のループがここへと繋がっていた事を知る。
えっ?
なんで?
なんで、あなたがここにいるの?
驚き固まる私に、他人事のように聞こえた上司の声。
「今日から、彼、菅沼晃司(すがぬま こうじ)君についてもらうから、頼むね」
ポンと叩かれた肩、思わず、ビクッと大きく身体が跳ねてしまった。
苗字、菅沼って言うんだ、
なんて、どうでもいいことを思いながら、今だ視線すらこちらに向けない男を見つめる。
すぐ近くに立ってるって、わかってるはずなのに、超、私に無関心で、ムカつく。
そして、俯く横顔が相変わらずいい男過ぎて、さらにムカつく。
「ほらっ、挨拶して」
空気を読まない上司が私を促すから、仕方なく、ペコリと頭を下げ、
「柏木 実尋です。よろしくお願いします」
お決まりのセリフ。
たぶん、私に興味、いや、記憶にすらないだろうとたかをくくり、何食わぬ顔で顔をあげたら……バッチリ見られてた。
わっ?! なっ、なんで? 突き刺さる視線。
何に、反応した? もしや、名前? 私の事、もしかして、覚えてる? あぁ、いますぐ担当変えてください。
そう上司に願いでようかと思ったら、
「菅沼 晃司です。悪いけど、今、急ぎの仕事があって手が空くのは、1時間後。第1会議室に来て。10時ね」
そう言われ、彼はデスクに視線を戻した。
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