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「元気だして♪」
こっそりと、隣のデスクの、一つ先輩の林さんが私にチョコレートをくれた。
「ありがとうございます」
ひび割れたハートに優しさが沁みる……
「菅沼もあんな言い方しなくてもいいのにね~」
コソコソと悪態をつく、頼りになる林姉さん。私は聞こえちゃわないかと、ヒヤヒヤしている。
「指導係初めてだから気合はいってるのかなぁ?」
そうなんだ……知らなかった事実に少し驚く。
「私がミスってばかりだから仕方ありません」
ありのままを告げた。
「それにしたってさぁ~、他の指導係見てごらんよ、みんな優しく教えてもらってるよ?」
「……」
それは確かに気付いてました。同期の仲間にも、コージが指導係で不運だね……とまで言われ、ラッキーと思ったのに、これって、アンラッキーだったのか?
「変わってもらう? 担当の人」
少し心配そうに覗き込む優しい林姉さん。私は無理矢理口角をあげ、笑って見せた。
「心配かけてすみません。でも私、大丈夫です、早くしっかり仕事覚えて、役に立てるように頑張ります!」
「そっか、じゃ、もう一つあげる♪」
手のひらにコロンとチョコレートがもう一つ。林姉さん、ほんとにありがとう、私、頑張るよ、まだ、負けたくない……
諦めたくないから……頑張る。
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