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「おいっ、その顔やめろ、気がちる、」 不機嫌そうな声がオフィス内に響く。コージの声だ…… 「もともとこういう顔なので、申し訳ありませんが、なおせません」 フンと鼻をならし、シレッと言い返したのは、もちろん私。 「……チッ」 あっ、ムカつく、今、舌打ちされた。 時刻は定時をとっくに過ぎて、このフロアには私とコージだけ……。昼間の失敗のミスを直すべく、私と、その指導者のコージは2人そろって残業していた。コージの態度があまりに普通なので、私は悔しくて、ふて腐れていた。 もちろん……本来ならば、上司に対する態度を逸脱している。許されることではない。それはわかっている。自分のしていることを、私はちゃんと理解している。でも、我慢できなかった。 定時まではニコニコ笑顔で乗り切ったけど……今は勤務時間外。 仕事はちゃんとするけれど、愛想笑いはもう限界。だって、切なすぎる。 わたしは、コージと再会できて嬉しかったのに、今でも、コージが好きなのに、私はこんなにも傷ついたのに――、 コージは至って、普通だ。 私の上司という顔しか見せてくれない。
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