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数歩の距離をあけて、見つめ合う2人。他には誰もいない。
長く感じる沈黙の後――、ようやく、コージが重たい口を開いた。
「俺は……」
ザッと砂利を踏みならす音と、遠ざかる背中。
ふと思い出した。昔、いつも駅で見送っていたその背中。電車に乗り込むコージをいつも影から見てた私。あの頃は、瞳に映せただけで、嬉しくて堪らなかった。
今は……すごく苦しくて切ない。
ゴシゴシッと、手の甲で目元を拭い、私は踵を返した。
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