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ルケルケ・7・トーが灰汁をとったのちビーフシチューのルーを入れたのと、ガニガニ・9・ボーテがネズミの改造手術を終えて部屋から出てきたのは、ほぼ同時だった。
ガニガニ・9・ボーテにエプロンをつけさせ、鍋のかき混ぜを指示すると、
「じゃあ、行ってきます」
と、今一つやる気のない声で言い、生体反応観測装置と改造ネズミを持って出て行った。
生体反応観測装置の指示に従って階段を下りていくと、なぜか一階にまで至ってしまった。
「あれ? 田仲さんちを調べるんじゃなかったっけ?」
装置の示すのは104号室で、ここは志井兄弟の部屋である。
「ま、いっか」
ルケルケ・7・トーはビーフシチューの鍋が気になっていたので、さして深く考えることなくネズミを仕掛けた。改造されたネズミはその場にじっとしており、玄関ドアが開くと同時に走り出すはずだった。あとはじっくり結果が出るまで待つだけである。
ルケルケ・7・トーはビーフシチューのために急いで四階の部屋へ戻るべく階段を駆け上がっていった。
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