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「何か、言い訳を考えてるんでしょう?」
姐さんは悪戯っぽい笑みをうかべながら、ぐんぐんと真っ黒な瞳を自分の口元に寄せてくる。
"星空さんの瞳に見つめられると何でか知らんけど、興奮させられるんだよなぁ…。"
昔、ツッパリ友達の上杉がHなDVDを見ながらつぶやいていたのを思い出した。
姐さんの真っ黒な瞳(正確には中に閉じ込められているものだが)は時に人が持っている感情に対してなにかしらの影響を及ぼす事を俺は知っていた。
嫉妬、妬み、愛おしさ、憎しみ、悲しみ、怒り、不安、優しさ、切なさ、嬉しさ、もどかしさ、その全ての感情が増幅される。
いっぺんに色々な感情が刺激されれば誰だってどうしたらいいのか分からなくなるものだ。
おそらく普通の男子なら数秒ともたずにその場を逃げ出してしまうだろう。
しかし、俺はまがりなりにも硬派なヤンキーをずっと貫いてきたため、色仕掛けや脅しにはめっぽう強かった。
その実力はお頭のお墨付きで、お頭の舎弟頭にも登り詰めたのはそう言った理由も少なからずあったのだ。
「いやいや、言い訳だなんて…ところで姐さんはどうしてここに?」
あくまで、爽やかに流れるように姐さんの詰問をかわしてみせる。
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