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「え?私は本願寺くんに用があって、ずっと追いかけてただけだけど」
意外なほど、あっさり返答が返ってきた。
ん?待てよ、俺を追っかけてきたってことは?
さっきまでの行動を頭の中で振り返ってみる。
たしか、昼飯を食い終わってからお頭のいる1組に様子を見に行って、そのまま雨竜の所まで隠れながら見張っていたわけなんだが…あれ?やっぱり?もしかして?
「イママデノハナシヲゼンブシラレタッテコト?」
「うん」
俺は思わず心の声をそのまま言葉に出していた。
そして、その答えがすぐに返ってきたことから疑惑は確信へと変わった。
そう、俺は最初から哀れなピエロだったのだ。、、、
それを悟ってしまった瞬間、今まで生きてきた人生が走馬灯のように次々と浮かんでは消えていった。
"いいか、タテル。姉さんだけは絶対に巻き込むんじゃないぞ"
お頭の声が山彦のようにこだまする。
………………。
「ちょっと、しっかりしてよ!魂抜けたみたいになってるじゃない」
姐さんの気丈な声だけが廊下に響き渡った。
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