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すみません、お頭。
約束を破っちまいました。
俺は心の中でお頭に謝罪しながら、今までの経緯を知っている限り姐さんに話した。
この学校にはシリアルキラーが潜んでいる事。
そのシリアルキラーは普段は普通の学生だが裏じゃ、この学校を支配しているという事。
そして、おそらく今、会った男がシリアルキラー、雨竜雷太で間違いないということ。
姐さんは頷きもせず、ただ黙って聞いていた。
しばらくの無言の後、姐さんは大きなため息を一回吐いた。
「正直、ショックよ」
姐さんの気持ちはよく分かる。
「ですよね、あんな化け物じみた奴と一緒の空気を吸ってたなんてね」
誰だって殺人鬼と一緒じゃ息も詰まるはずだ。
しかし、姐さんは俺の慰めの言葉など耳を傾けずに相変わらずゆっくりとした口調で話を続ける。
「まさか、あんた達が今までこんなくだらない理由で人様に迷惑をかけてきただなんて」
「えっ?」
あれ?何言ってんだ?この人?
うまく事態が飲み込めず、ぽかんと口を開けていると、姐さんは息子を叱る母親のような口調でこう言った。
「謝ってきなさい。どうせ、あの子が先輩に魔物だの何だの言って困らせたんでしょ?今ならまだ間に合うから」
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