覚悟

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「何か用か?」 「きて」 そう言うと、浅野は俺の手首を掴んで歩きだした。 「えっ、ちょ、おい。浅野?」 慌てて呼びかければ、浅野は少しだけ俺を見て柔らかく微笑んだ。その笑顔に有無を言わせない何かを感じて、おとなしく口をつぐんだ。 浅野に連れて来られたのは、何故か食堂だった。 丁度夕食時の食堂は生徒で溢れていて、浅野が入るとどこからともなく黄色い悲鳴が聞こえてきた。手首を掴まれている俺は、離れることもできずついていくしかない。 浅野は、熱視線を気にもとめず、というか気付いてすらいないのかもしれない。カウンターへまっすぐ歩いて行くと、厨房からコックであろう男がひょいと顔を出した。 「おっ、要か。いつものやつだろ?」 「うん」 「そっちの先生はなんかいるか?」 突然話をふられ、慌てながら首を横に振った。たぶん、帰れば直人が晩飯を作って待ってくれているだろうから。 「わかった。ちょっと待ってろ」
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