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「神木さん!
俺と、付き合ってください!」
高二の夏……その日に俺は、生まれて初めて、好きな子に告白をした。
暑く気だるい、ありふれた平日の朝の事だった。
場所は校舎の廊下という、これも何処にも凝った所が無い。
勢いだけでイッてしまった感がハンパ無い。
相手は同じクラスの女性で、名前は神木美穂。
笑顔がとても魅力的な、茶色のツインテールがトレードマークの小柄な美少女だ。
……体格の割にスタイルが良すぎるけど、そこは俺の惹かれた点として明記しない。
とにかく、とてもすごく美少女だ。
当の本人は、朝の挨拶もそこそこに突然告白されてポカーンとしている。
……当たり前だ。
誰がすぐに反応できる。
頭の回転には自信がある俺でも、同じ展開を迎えたら混乱は必至だろう。
どれほど学力を磨いたところで効果は無く、精神力を鍛えるには相応の手段が必須になる。
千尋の谷に落ちた獅子の如き状況下に永く在らば、環境に慣れる人間の自己適応能力が発動する事を踏まえた上での結論として、身を置く周囲の環境を整える事こそが鍛錬方法として最も優れた手段と断言しても過言とは言い難いと……
……何を考えているのだろう、俺は。
ウンチクをひけらかす場面か?この状況は。
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