“Who are you? Who am I?”

2/11
前へ
/11ページ
次へ
「コーヒーでよかったかしら?」   台所から尋ねてくる女性に、僕はタオルで髪を乾かしながら、首を縦に振った。   正直、コーヒーは砂糖とミルクたっぷりじゃなきゃあんまり飲めないんだけど、あれこれ言うのも忍びない。   「名乗るのがまだだったわね」   2人分のコーヒーをテーブルに乗せ、黒のセーターにこれまた黒のロングスカートを身に纏ったその女性は僕の向かい側に腰掛けた。 「私は音砂 響香(おとすな きょうか)。一応、あなたのふたつ上ということになるかしら」 胸元まである、長くて艶やかな黒髪を手串で何度か梳かしながら目の前の女性、もとい音砂響香さんは僕に簡単な自己紹介をした。 「あなたは」 「名前」   話を切り出す僕の腰を折って、彼女は言う。 「呼び捨てでいいわよ。私もあなたを下の名前で呼ぶことにするから」 彼女はそっけなく言い放ち、マグカップに口を着けた。 「どう、少しは落ち着いた?」 「はい」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加