2人が本棚に入れています
本棚に追加
昼前にはまた1人になり、する事もなく
テレビをつけてチャンネルを変えまくった。
ウキウキする気分でもなく、談話を聞く
気にもなれない。ニュースなんてもっての他。
結局一通りチャンネルを確認して消し、
再びソファーに寝っ転がり、何時に帰って
くるかも分からない弟をただただ目を閉じて
待つ自分は何とも惨めで、だらしがないのか。
分かっていても、自分が変わっても、
周りの目は変わってくれない現実が
より、衛に会いたい衝動を駆り立てる。
「会いたいなぁ~……」
外に出るなと言うのは冗談じゃなくて、
バレて追い出されたら困る。
かと言ってここで会うのも勇気がいるし
来てくれるとも限らない。
「海二の会社なら安全だろうけど……」
監視されたら気軽に会いにいけないし、
海二が衛を友として好きになってくれたら
全てが解決するけど、2人が仲良くなるとか
それなりの奇跡が起きないと無理だと
皆が口を揃えて言う程、仲が悪い。
それでも俺が居座りに行く分には1000歩
以上譲ってでも許してくれる辺りは
家族としてまだ信用はしてくれてる。
じゃ何がいけないのか。
それをずっと考えてはいるけど、
いまだに答えはでてはいない。
ピリリリッ ピリリリッ
ポケットの中で震えながら鳴る携帯を
取り出すと画面には海二の文字。
「もしもし?」
(椎野海斗様ですね?)
「はい……そうですけど……」
明らかに不振な電話。
(私、椎野海二様の秘書を勤めさせて
頂いております、伊集院隼と申します)
「はぁ……」
(突然のお電話申し訳ありません。
海二様と共に下までお迎えに参りました)
「なら、何故海二が電話して来ないのでしょ?」
(と、仰っていますが)
何やら電話先でもめ始め、暫くすると、
(もしもし!?)
不機嫌の海二登場。
「何がどうなってんの?」
(説明は車の中でする。今から5分以内に
私のスーツを着用し降りて来てほしい)
「分かった」
プツッ
ツーツー
「ヤバイ。相当キレてる」
急いで着替えて下に降りると海二と話す
見知らぬ男性2人。
「すみません、遅くなりました」
頭を下げると海二の手が頭に乗せられ、
「石田家に行くぞ」
御立腹の理由が頭上から降り注いだ。
「何で?」
「父さんがそこに居る」
「……?」
「時間があまりございません。
車にお乗りください」
後部座席に乗せられ石田家に到着。
身なりを確認していざ中へ。
最初のコメントを投稿しよう!