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彼女を預けて治療の邪魔にならない様
外に出て待ち、呼ばれると中に入って
足の具合を聞き、彼女を再び抱っこをして
親御さんの所まで運んで頭を下げた。
「申し訳ありません」
「君は確か椎野さんの所の」
「椎野海斗と申します。
こちらのエスコートが至らなくて
お怪我をさせてしまいました」
「それならここから見ていていたが、
君こそ足は大丈夫かね」
「お気遣い有り難うございます。
私は大丈夫です。それよりもお嬢様を
大事になさってください」
「あぁ、そうさせて貰うよ。有り難う」
「それでは私はこれで失礼致します」
平然を装っても、
「医務室行くぞ」
何処からか現れた衛に後ろから手を引かれ、
そのまま連行され、靴下を脱ぎ足を見せと
頭を叩かれた。
「青くなってるじゃねぇか!!」
「そりゃピンヒールだったし」
バシッ
「何が大丈夫だ、慰謝料ふんだくれよ!!」
「いってぇな!!出来る訳ねぇだろ!?
海二に迷惑かけたらどうする!!」
明らかにミスマッチなのは俺の方。
荒波を立てようならば、責任者である
海二を巻き込む事になりかねない。
「骨に異常があるかもしれないから
このまま病院に行きなさい」
「いや、大丈夫ですって。
海二の用事が終わるまで、湿布で何とか
「なる訳ねぇだろ!!」
もう……煩い……。
「大丈夫なので湿布で、後、きちんと
病院に行きます」
「絶対よ?」
「はい、先生にお約束致します」
渋々湿布を張ってもらいエントラスへ。
何が気に入らないのか暗いオーラを出す衛。
「奥さんの所に行かなくて良いのか?」
「足が悪化しないように見張る方が大事だ」
「大丈夫だから行ってやれって」
「煩い。お前の言う事は聞かない」
「はぁ~……さいですか……」
大丈夫だと言っても信じてくれず、
ベッタリくっつかれると誤解を生みそうで
早く奥さんに預けたいけど顔を忘れて
ひたすら歩きまくった。
「誰かを探してるのか?」
「お前の奥さん」
「何故?」
「誤解されても困るだろ?」
「されるような誤解はない」
「俺と居たら話は別だろ?」
こんなに広い世界だ。
くだらない噂でも1度広がれば
なかなか消えないだろう。
「事実なのか?」
手を引かれ立ち止まり振り返ると
衛は真剣な目をしている。
「俺が眼力だけで男や女を落とせると
思って聞いてるのか?」
「思ってない」
「衛がそう言ってくれるだけで俺は満足。
俺を知らない奴の言葉は気にするな」
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