第1話

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ターミナル駅前の金曜日の夜は賑やかで。 路上ライブのメッカとか言われて評判になって、此処最近めっきり場所確保の競争率の上がってしまった駅前広場。 ぎりぎりで確保したすみっこの一角から、そんな夜の風景をぼんやり眺める。 道行くひとの足音は、みんな週末の開放感で楽しそうで、カホンの軽い音色みたい。 あ、このリズムやったらこんなメロディ当て嵌めてみたいわぁ・なんて頭に浮かんだ音楽を、膝に抱えた愛用のアコースティックギターで追いかけようとしてた矢先のことだった。 「そこ、俺の定位置なんやけど。」 割り込んだ声にびっくりして、並びかけた音符たちはあっという間にとっ散らかってしまってた。 あぁ、勿体ない…。 や、なくて。この仁王立ちする彼は誰…?
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