第一部 見上げた空

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人々の狂ったような歓声が周囲を支配している。 その中心で対峙する二人の男。 手には各々が武具を持つ。 一方は槍と盾、もう一方は大剣のみ。 槍と盾を持つ男は、肩を大きく上下させている。 息は荒く、疲労しているのは誰の目にみても明らか。 対するもう一人の男。 筋骨隆々で大柄な男は、自分の背丈と同じくらい大きな大剣を片手で持ちながらも、未だに平然な顔をして立っている。 「まだまだだろー」 「とっとと殺せー」 歓声はいつしか怒号になっている。 槍と盾を構えた男はその声に触発されたのか、盾を投げ捨て、槍を両手で構え直すと、目の前の男に襲いかかった。 防御を放棄した攻撃。 その形相は凄まじく、誰もが驚き、恐怖を抱くだろう。 だが、客観的にみれば、何の策もない勝負を焦った行動ともいえる。 事実、彼の目の前に立つ男はそれに驚いた様子もみせず、大剣を横に一振りした。 大剣からは衝撃波が生まれ、槍を握りしめて突進してきた男を吹き飛ばす。 男は壁に叩きつけられると、そのまま地面に倒れ込んだ。 静寂が闘技場を支配する。 そして、数秒後には大きな歓声が上がった。 その中心にいる男は大剣を高く掲げた。 闘技場に一段と大きな歓声が上がった。
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