始まりの夜

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ここは闘技場。 奴隷とされた人々が市民に殺し合いの見世物にされる場所。 と、いうのは大昔の話。 今はスポーツの一種と見なされおり、対戦相手の剣闘士を殺すことは禁じられている。 だから、俺が先ほど吹っ飛ばした剣闘士が目の前に現れても、何ら不思議はない。 剣闘士は仲間数人とともに俺の前に立ちふさがった。 「さすが闘技場破りのノワールだな。完敗だよ。で、ものは相談なんだがよければウチと……」 俺は剣闘士の言葉に足を止めず、剣闘士達の脇を強引に通り抜けた。 「チッ。引き留められなかったか。俺らの二十倍の金を出すって条件なのによ」 「マジすか!?何であいつ荒らしなんかやってすか。一年もあれば、一生遊んで暮らせる金を稼げるじゃないすか……」 「全く。何を好き好んで闘技場破りなんかしてんだか」 「そもそもあんな名家に生まれてんのによ!」 「ヤツの右目ってずっとあの青い髪に隠れてるじゃないすか。短髪なのに。右目を見た奴は石になるとかならないとか。だから、人じゃないって噂もあるし、俺らには理解不能なんすよ」
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