第1章

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彼女と出会ったのは高2になったばかりの頃だった。 その日はいつもように学校へ行き、教室に入り友達と談笑していた。 僕の学校は私立高校だが、僕は別に頭がいい訳ではなく、第一志望の学校に落ちてしまった為この学校に来ている。 僕がいる科は工業科。 元々地元が田舎の中学校だった為、進学してからかなりのカルチャーショックを受けた。 正直工業科にいるメンツは正直ヤンキー被れみたいな奴ばっかりでとても怖かった。 だが実際みんないい奴で…、まぁよくある話かな。 少し話がそれてしまったね。 そう、教室でみんなと談笑していたんだ。その日は始業式でみんなと会うのも久しぶりだったし、こうやって話すのが楽しかった。 僕の席は左の窓側。教室は一階なので登校してくる生徒の顔がよく見える。 僕自身人間観察が好きだったからいつもこの席にしている。 因みに席は成績が良かった順に選べるのだ。このクラス自体のレベルが低かったからいつも望み通りの席に着くことが出来た。 そんなこんなで始業のチャイムが鳴り先生が入ってきた。 先生に余談に耳を傾けながらも外をボーッと見ていた。 そこには登校してくる女の子三人がいた。明らかに遅刻の時間なのに急ぐ素振りも見せない。 制服を見る限り3年生だろう。僕らの代から制服が変わったので3年生の区別がよく分かる。 能天気だな、と思いながらもその女の子達を見ていたら1番右の女の子と目が合った。黒髪で長さは肩下ほど、7:3で分けている。 僕は女の子に対してあまり免疫が無かった。とはいえ彼女はいたんだ。仲のいい女の子とかならいいのだが、知らない女の子や初めて会う女の子に対してはめっきり弱かった。元々人見知りというのもある。 だからその目が合った瞬間すぐに目をそらしていた。そしてすぐにもう一度見た。その女の子は友達と楽しげに話していて、何か言葉では言い表せない特別な感情になった。後で分かったのだけど一目惚れだったと思う。 これが彼女と出会った日。出会ったというか正確には見かけた日なのかもしれない。これまで1年間彼女を見たことが無かったのだから。生徒数はそれなりに多かったが、人間観察が好きだった僕はだいたいの人の顔は覚えていた。 彼女が吹奏楽部だと知ったのはそれからすぐのことだった。
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