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結局、二人に無理矢理突っ込まれて、バーベキューで謎の負傷をしたヒロユキはリッシェルにその傷を癒やしていた。
「……何があったか聞いても良いですか?」
「ロリっ子共に襲われたとしか言えんな」
「バーベキューで回復魔法がいるぐらいの怪我する人を初めて見ましたよ」
「なんならリッシェルさんも俺の為にバーベキュー焼いてくれてもいいんだぜ?」
「私が焼いたバーベキューですか」
治療を終えたリッシェルは席を立ち、バーベキューを焼いてくれていた。
ヒロユキがそれを見て待っていると、リッシェルが焼いたバーベキューを持って来て、
「はい、どうぞ!」
「……なんだ、その黒い物は」
「何って、私が焼いたバーベキューですけど?」
リッシェルが持っていたのはバーベキューなどではなく、串に刺さった黒くて禍々しい物だった。
「うん、悪いけど、それはいらない」
「ちょっと!焼けと言うから焼いたのに!」
「そんな調子で十本ぐらい、消し炭にされてしまいましたよ。はい、どうぞ」
流石、今日、クロエに料理を習った直人だ、焦げ過ぎず、肉と野菜が程良いバランスで焼き上がった物をヒロユキとリッシェルに持って来てくれた。
「私のは直人くんが焼いてくれていたのですよ!」
「ドヤ顔やめろ。お前も天才に何やらせてんの?全力で謝れ」
「いいんですよ、リッシェルさんもとても頑張ってくれたんですから、そのお礼です」
直人の爽やかな嫌味の無い笑顔に、リッシェルは両手を胸の辺りで組んで、うるうるしながら、
「直人くん……」
「ショタコンか」
「ち、違いますよ!」
リッシェルは全力で拒否るが、ヒロユキがクロエやれんげに対してロリコン認定を受けるなら、同い年のリッシェルが直人に対して同様の不名誉な称号を受けるのは当然だと思う。
リッシェルのは、下心の無い純粋な好意ではあったが。
「まあ、それは置いといて、コーネリアはどうしたんだ?」
「コーネリアさんなら、さっき、水をお渡ししたんですが、とても疲れているみたいで、岩場で涼んでくると言ってましたよ」
「水、渡したってお前……」
なんでも卒無くこなせる天才な上、嫌味のない純粋な性格な上、他人に対する気遣いまで完璧とかこいつは完璧超人かと思う。
「どうしたんですか?」
「いや、男なのにうっかり惚れそうになった、割りとガチで」
「えー……」
「ドン引きすんな、ジョークだよ。どれ、あいつも腹減ってるかも知れないから何か持ってってやるか」
直人が焼いたバーベキューを食べ終わったヒロユキが席を立ち、直人が焼いていたのを何本が見繕って皿に乗せて、飲み物も持って岩場の辺りに向かって歩き出す。
ヒロユキの背中を見送りながら、直人がリッシェルにポツリと漏らす。
「仲間想いのいい人ですよね、ヒロユキさん」
「ええ、普段は悪態をつきますし、ちょっとスケベですけどね」
悪戯っぽく言いながらもリッシェルの顔はニッコリ笑っていた。
それを目の当たりにした直人もニッコリと微笑みを返す。
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