68人が本棚に入れています
本棚に追加
透き通ったような青空に浮かぶサンサンと照らす太陽、地平線の向こうまで続くエメラルド色の海。
これらを見ていると日本でいう夏という言葉がしっくりくるのだが、この世界にも四季とかあるのだろうか?
今度、クロエかコーネリアにでも尋ねてみようと思うが、今の話し相手はれんげなのでうっかり口走らないようにしないといけない。
そのれんげだが、ヒロユキと同じ様にパラソルの影に入って、寝転がっているヒロユキの事をじっとその紅い瞳で見ていた。
「えっと、何?」
「いえ、ただあたしは待っているワケですよ」
「待っている?」
「はい、昨日は初めてだったのでコー姉に付きっきりだったワケですが、今日はフリーなワケです」
「その心は?」
「ヒロユキさんは一体、いつになったらデートというのに誘ってくださるのか、と」
「あー……」
確かにそんな話もあった。昨日の忙しさですっかり忘れてしまっていたが。
「まさか、忘れていませんよね?」
れんげの疑いの眼差しが、図星過ぎるヒロユキに刺さって心が痛い。
「わ、忘れてなんかないし!ただ昨日、オーガと戦って筋肉痛なだけだし!動けないだけだしぃ!」
「その口調がますます怪しいワケですよ。しかし、オーガを仕留めるなんてやりますね、ヒロユキさん、でも筋肉痛?」
「そうそう、そうなんだよ、強敵だろ、オーガって。手こずってしまってね、筋肉痛に陥ってしまっているんだ」
あたふたしながら身振り手振りを交えて説明すると、れんげはスッと立ち上がって、
「わかりました、あたしがマッサージしてあげるワケですよ!」
「マッサージって……」
「お忘れなワケですか、ヒロユキさん?この鈴原れんげは医師免許を持っているという事を!」
「マッサージに医師免許とか関係あるのかわからんが、何やら期待出来そうだな」
「はーい、じゃあ、うつ伏せになって下さーい」
れんげに促されるままにうつ伏せになると、れんげは無防備にヒロユキの腰の辺りに乗って来て、肩の辺りからマッサージを始める。
「お客さん、こってますねー?こうですか?こうですかー?」
「ぁ……いぃ……気持ちぇぇですわぁ……いや、しかし、これは、ちょっと待て……」
しかし、発展途上ながらもれんげは女の子でその特有の柔らかさとか、時折当たる平らな胸とかの感触は当然の如く持ち合わせているワケで、マッサージの気持ち良さも合わさってか、ヒロユキのジュニアの方がとんでもない事になっていた。
「お気に召しませんでしたか……?」
しょんぼりして、止めようとするれんげの右手首をガッシリと掴んで、ヒロユキは真剣な眼差しを向ける。
「もう幸せ過ぎて一生このままでもいい……!!気の済むまで続けて下さいれんげ様!」
「さ、様?」
なんせ、れんげクラスの美少女にマッサージしてもらえるなんて、モブのヒロユキにはもう死ぬまでないかも知れないのだ。
もうロリコンと蔑まされてもいい……!
ヒロユキは謎の覚悟を決めて、引き続きれんげのマッサージを心ゆくまで堪能した。
最初のコメントを投稿しよう!