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それからヒロユキたちは町周辺に生えているというクエスト用紙に描いてあった薬草をむしり採りまくった。
クエストの内容は町の道具屋からで集めたら集めた分だけの薬草を買い取ってくれると言うもの。
ヒロユキとコーネリアはとにかく無心になって薬草を貪るようにちぎりまくった。
たまに魔物に追いかけられたりしながらも発見し次第に、手当たり次第に目につく薬草という薬草を集めまくった。
そして日も暮れて、コーネリアの有り金をはたいて買ったビニール袋のような物に詰めくってそれを両手一杯に持ってギルドのお姉さんの所に持っていった。
「が、頑張りましたね、コーネリアさん」
「そ、そりゃもう……生きるの必死っすから!」
「あはは……集計に時間がかかりますので、しばらくギルド内でお待ち下さい」
「はーい、よろしくお願いしゃーす!」
ニコニコしながらコーネリアが上機嫌でヒロユキの待つテーブルに向かう。
「おーう、どうだったー?」
「換金はまだだけど、薬草一枚で五十ラピスになるから相当稼いだわよ?」
「百……いや、千枚ぐらいは集めたもんな」
ヒロユキがそういうとコーネリアはヒロユキの前の席に座って、
「あー、お腹すいたー!なんか頼みましょう!いやー、良い仕事だったわ!」
「俺の採集スキルが火を吹いてしまったようだな?」
「本当に!ねえ、ヒロユキ、一つ私から提案があるのだけど、あ、すいませーん、リザードのハンバーグライスセット一つ」
「あ、じゃあ、俺は豚のコロコロジューシーセットね、あとビールね」
「ああ、ズルい!私もビール!」
「お子様にはまだ早えよ」
「お子様じゃないもん!トランパイアでは十五歳以上は成人だもの」
店員さんがかしこまりましたーっと去っていった所で、ヒロユキが無料の水を一口飲んで、
「で、提案ってなんだ?」
「あんたもならない?ツヴァイサーに」
ふーむ、とヒロユキは一考する。こんな戸籍も住民票も無いような世界で働き口を探すのは大変そうである。
幸い、採集クエストなら魔物に追いかけられたりはするが比較的安全に生活費を稼げるのでありっちゃありかも知れないとヒロユキは思う。
「ああ、なるぜ!」
「決まりね!じゃあ、ちょっと来て」
コーネリアに促されてヒロユキは受付カウンターの方へと連れていかれた。
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