目覚め

4/7
前へ
/157ページ
次へ
「ま、僕には関係ないけどね」 僕はもう10年以上この森で暮らしていて、森の構造は知りつくしているから、道に迷ったりもしないし、もし強い魔物に襲われても、慌てずに対処できるくらいの実力もある。 しかし、襲って来る魔物を片っ端から倒していたせいか、最近は魔物がほとんど寄って来なくなり、退屈な毎日を過ごしている。 ……暇だし、自己紹介でもしようかな。 僕の名前はユキ。 どこにでもいるような、ごく普通の16歳だ。 ただひとつだけ普通じゃないのは、僕の髪の色だ。 僕の髪は灰色だ。 昔から、灰色の髪の子どもが生まれた場合、その子どもは例外なく魔力のない子ども、所謂『魔力なし』と呼ばれ、差別の対象とされてきた。 まあ、僕は違うんだけどね。 その事はまた後で話すよ。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1461人が本棚に入れています
本棚に追加