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第2章 SurvivalAbility(生き残り能力)
(10) アーシュ・タロット
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軒下での一晩は、決して寝心地の良いものではなかった。
けれど、アーシュ・タロットの目覚めは不思議とスッキリとしていて、体にも疲労による倦怠を感じることはなかった。
目覚める直前まで、クスクスと笑いあっていた記憶があり、こうして目覚めるまでの時間的経過を全く感じなかった。
上半身だけを起こして、左右を見回せば、子猫や子犬のように体を丸めて身を寄せ合う美少女たち3人の安らかな寝顔が目に入る。
その身を寄せ合う中に、アーシュ・タロットも挟まれているから、朝方の肌寒さを彼女たちの温もりのお陰で感じずに済んだようだ。
せっかくの爽やかな寝覚めを、モヤモヤした気分に変えないように、彼女たちの体へと移ろうとする視線を無理矢理意思の力で押しとどめる。
胸やら太ももやらの肌色に本能的に視線が誘導されるのは、男の悲しい性ではあるが、彼女たちとはまだ出逢ったばかりで、そういう視線で見ていいような仲になったというワケではないのだ。
彼女たちの幸せそうな寝顔を見て、アーシュは確信する。
眠りに落ちる直前の笑顔…アレは夢では無い。そして、次の瞬間に自分は目覚めた。
…ということは、つまり…熟睡していたのだろう。
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