第2章 SurvivalAbility(生き残り能力)

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   彼女たちは、まだ暫くは目を覚ましそうにない。  だから、アーシュ・タロットは彼女たちを起こさないように、そっと美少女たちの身を寄せ合う中から抜け出した。  アーシュが抜けたために、朝の冷たい空気が少女たちの肌を撫でる。  もぞもぞと無意識に蠢き、3人の美少女はアーシュの抜けた穴を埋めるように3人で身を寄せ合う形へとフォーメーションをチェンジさせる。  やがて、もっとも心地よくシックリとくる位置をそれぞれが見つけたのか、3人仲良く動きを止めて、スヤスヤと寝息を立て始める。  アーシュ・タロットは、そんな彼女たちの見事な連携を微笑ましく眺めながら、開け始めた空を見上げる。  薄く黄色や赤に濁った空の色は、一箇所だけを取り出せば決して綺麗な色というわけではなかったが、その奇跡的なグラデーションが生み出す総合的な色合いが、どこか胸の奥に迫るものがあって、アーシュは深く息を吸い込んだ。  美少女たちが目をさますまで特にすることもなく、アーシュ・タロットは昨日このタウンに辿り着くまでのことを何とはなしに思い浮かべていた。  記憶の大半を欠損したまま、どこなのかも分からない場所で覚醒してから、どのぐらいの時が経過したのだろう。何日か?…それとも何週間か?  曖昧な時間感覚に苦笑しつつ、アーシュ・タロットは回想する。  あの時も、さっき目が覚めた時と同じように、妙にスッキリした目覚めだった…。 ・・・
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