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ぱっ…と、目の前が明るくなった。
夜、一人暮らしの真っ暗な部屋に帰宅して、手探りで電気のスイッチをONにした時のように。もちろん大昔のようあったグロー管がついた照明器具みたいに、完全に点灯するまでのタイムラグなんていうものも当然のことながら無い。
眠っているところを急に揺り起こされて目を開けた時のように、彼の視界には一斉に色鮮やかな世界が飛び込んできた。
目覚める直前までに夢を見たり、微睡(まどろ)んだという記憶はいっさい無い。
…ということは、つまり、熟睡していたのだろう…
そう彼は納得しかけて…固まった。
いや。確かに熟睡後の目覚めに今の感覚は似ている。
似ているけれど…しかし、全く異なることが一つあって、彼を愕然とさせる。
「熟睡前…何してたっけ?」
自分はどこかに大の字になって横たわっているようだ。
ゴツゴツとした地面の感触が背中に伝わってくるし、鮮やかに飛び込んでくる景色はどこまでも深く青に染まる大空のようだったから、自分が寝転がった状態であることは間違いがない。
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