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でも、そのことと、直前まで自分が眠っていたのかどうかは別の話だ。
「ここ…どこ?」
余りにも深い青が目に染みるから、彼は眩しそうに目を細めて体を起こす。
仮に眠っていたのだとしても…見上げた先に青い大空があるということは、ここは外だ…何故、自分は屋根どころか壁も、いや、それどころか何もない青空の下で眠ったりしたのだろうか?…という疑問に首を傾げざるを得ない。
「で…何で、はだか?」
肌寒い…ということは幸いにして無かったが、どうやら自分は衣服を身にまとっていないような気がする。時々そよぐ風に撫でられた肌がくすぐったい。
しかも、生まれたままの素っ裸…というわけでもなく、所々には申し訳程度に布の切れ端が引っかかり、或いは巻き付きしているから、ますます良く分からない。
いや。裸云々、衣服云々…の前に、全身が酷く汚れている。
或いは黒く煤け、或いは白い埃をかぶり…痛みを感じることもなどないのだが、全身が血塗れになっている。起きあがろうとして体を支えるために地面についた手が、ぬるっと滑ってしまうほどの出血量。これだけの血が体から失われたら…普通は生きていられないのではないだろうか?
…これが自分の血であれば…だが。
「何だ…これ?」
・・・
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