第2章 SurvivalAbility(生き残り能力)

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   目を開けた時に最初に目に飛び込んできた澄み渡る青と違って、体を起こしてから見回した周りの景色は全く対照的な…凄惨なものだった。  何が暴れたらこのような状態になるのか?  そう首を捻らざるを得ないような凄まじい【破壊】の痕跡。  土が焼け焦げて一度溶けてからまた固まったような不自然な滑らかさを見せているかと思うと、所々えぐれて瓦礫が散らばり、砂礫が散乱している。  こんな状態の中にあって、平然と熟睡していられたとしたらよほどの大物だ。  はて?…ところで自分は、そんな大物だったろうか?  「ちょっと…待ってよ。え?…でも…」  どれだけ思いだそうとしても、今、目を開く以前の記憶が一つも思い浮かばない。  こんな唐突な目覚めによる、思考の開始などあり得るのだろうか?  それは、くどいようだが深い熟睡後の目覚めとも違う。  それは、何らかの手術のため、全身麻酔の施術を受けた後の覚醒とも全然違う。  何かの弾みで後頭部を強打して、意識を刈り取られる…という経験をしたことがないから比べようがないが…そうだとしたら、それほどの強打なのに後頭部に全く痛みが無いことの説明もつかない…。  えっと、えっと。何か…他にないかな?  今の状態をうまく例えることができるような…そんな状況。う~ん?  見回しても自分以外には誰の姿もないから、別に誰かの共感を得たい…というわけでもないが、せめて自分がスッキリと納得のいくような説明が何か欲しい。 ・・・
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