第2章 SurvivalAbility(生き残り能力)

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   様々な検証を加えても、この説明には綻びがない。  わーい、やったね。  へへへへ…。  「…って、喜んでいいのかな?」  もし、そうだとしたら、今の自分は、記憶を失う前の自分の望みどおり、見事に「何もかも忘れた」状態になったわけだ。  ここに、記憶を失う前の自分がいれば、さぞ喜んだことだろう。  しかし、今、ここにいるのは、その結果として記憶を失った自分だけだ。  そして、失った記憶の中には「何もかも忘れてしまいたい」という気持ちや、そう思う原因となった出来事の記憶も全て含まれている。  つまり…喜ぶ理由すらも失われたということに他ならない。  だいたい…これってさ。もう。同じ自分…っていう感じじゃなく、全くの別人に近い感覚だよね?…だってさ、正直、こんな全裸に近い状態で、事情も分からずに青空の下に放りだされた側からすれば、迷惑以外の何ものでも無いじゃん!?  おい、てめぇ…何を勝手に「何もかも忘れたい」とか思っちゃってくれちゃってんのよ?…ってか、思うだけならまだしも、俺の許しもなくいきなり「何もかも忘れて」くれちゃったりしたら…その後の自分が、普通、困るって分かるだろぅがよっ!!  責任者出てこい!!  …自分なんだけどね。…もう、出てきてますってか?…フザケんなよ、ゴルァ!! ・・・
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