第2章 SurvivalAbility(生き残り能力)

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   …と心の中で一人で興奮して、ぜいぜいはぁはぁ…と呼吸を荒くする自分は、やっぱり軽くパニックを起こしている?  落ち着け、落ち着け、自分。  仮に、責任者=もう一人の自分?が目の前に出てきたところで…  「記憶にございません!」  …とか、大昔の政治家おオッサンの決め台詞的なことしか言わないに決まってる。  だから、そんな奴の登場に期待していたってしょうがないのだ。  そんな無駄なことに時間を費やすぐらいなら、前向きに記憶探しのインナートリップを開始しよう。自分探しの旅…ってやつだね。うん。なかなか素敵な響きだね。  大丈夫、大丈夫。いくら何でも、全く全部思い出せないなんてことは無いはずだ。  今だって、こうやって色々と思考できてるってことは、その為の材料としての知識は残ってるんだから。  でも、記憶と知識…とか、自分の中でさっきから勝手に区別をつけて言っているけど…その2つの違いって何なんだろう?  何かをとにかく覚えるってのも記憶って言うことがあるけど、自分の行動を伴う…「経験」とかって言い換えられるような…そういうのが記憶だよね?  で、今、自分が思考の材料として使っている知識は、それをイメージする時に、全然、自分の体験的な映像が思い浮かばないんだよ。  ただ、知っている。ただ、そういうものだ…と感じる…だけで。  いや。知識だけで…こんな風にものを考えたりは…できないよね。 ・・・
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