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長い旅路の末、
やっと我がコーポの前に辿り着いた真弓は、
「よぉしっ!
お湯割り焼酎は止めるぞ、あたしわっ!
絶対じゃぞーーーっ!」
と誓って、
カァーンカァーン
と二階へと上がって行った。
ガチャリ
キーを回してドアを開けると、一枚の用紙が舞って落ちた。
【荷物が届いてますよ】
管理人さんからのメモだった。
真弓は蛍光灯のスイッチを押して、
ふた間の部屋を見回した。
「泥棒の入った形跡わぁ……
無しっ、よしとーーーっ!」
そうしてから小さな箪笥から着替えを取り出して、
浴室へと向かった。
▼
「♪
やっぱり~こちらは~思ったよりっか~~
♪
お寒いですね~~」
……ハァ、ハァックショ~~~ン!
▼
真弓はシャワー浴びて浴室から出ると、
素早く着替え、小さな鏡台の前に座って、
ドライヤーでショートカットの髪を乾かし………、
髪が乾くと二三の櫛で櫛目を入れながら、
首を、傾けたり、回して振ったり、頷いたりして、髪を整え終えた。
髪が落ち着くと、
今度は鏡にグゥッと近づき、
表情を色々と変化させながら化粧を始めた。
そうして最後に口紅を引いて、ウインクした。
「一丁上がり~~
ハッスル眞弓さんの出来上がりじゃよ」
そうやって、身仕度が整うと、
カァーンカァーン
と階下に降り立ち、
先ほど下車した中野駅へと向かった。
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