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中野駅に着いた眞弓は、
プラットホームに上がり電車を待った。
今度は黄色い電車に乗車して、絵一に逢いに行くのだ。
ホームからぐぐっと首を伸ばすと、
薄闇に光る電車が見えて来た。
電車が停止して、
真弓はその電車に乗ると、閉まった扉に寄り掛かった。
そうして帳が降りた街の中に、
徐徐に……輝やきを増して流れ行く街並みを眺めた。
真弓はそんな光景見つめながら、
双子のようにして育った絵一のことを思った。
絵一は、家督よりも絵の方を選んだ。
そのために親と大喧嘩となり、
勘当? された形になってしまった。
(母さんから……
絵一には婚約者がおったと初めて聞いたけんど……
どげんしたとやろかぁ?)
人事ではないだろうに……。
(ひと昔まえ……
あたしには……身体をも許した彼氏がおったとょ)
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