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親切そうな人に職員室までの道を訊ねてどうにかこうにか職員室に到着。 ココン、とノックを素早く二回してからガラガラとドアを開ける。 すると暖房が点いているのか少しだけ暖かな空気が珈琲の匂いと共に漏れ出る。 「あー、今日転校してきた宮本(みやもと) 悟史(さとし)です」 この後どうしようか……。と考えていると一人の教員が立ち上がり近付いてくる。 「おはこんばんちは。俺が二年C組の担任の佐々木(ささき)だ。気軽に笹先生と呼べ」 どういう挨拶だ。そしてそれはもう苗字じゃない。それに佐々木じゃなく笹で覚えそうで怖い。うっかり笹さんと呼びそうだ。あ、さが三回続くから逆に言いづらいか……。 「という訳でさっちゃん先生と呼びます」 「どうしとそうなったかは分からないが、取り敢えず教室に向かうぞ。もうすぐSHRだ」 そう言うとさっちゃん先生は持っていたプリントの山を俺に押し付けてスタコラサッサ歩いていく。 まさか転校初日から雑用に使われるとは思わなかった。 さっちゃん先生の外見は白衣を羽織っている以外特徴らしき特徴がない。というか腕通せよ。落ちるぞ。 染められていない黒い髪は短くも長くもなく適当にカットされていて、制服を着ていたらぱっと見じゃ生徒だと思ってしまうぐらい若々しい。 後ろ姿だと尚更大人だとは思えなかった。
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