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人をこき使う先生だがフォローする所はフォローしてくれるようだ。そのお陰か、少しだけ張り詰めた空気が再び弛緩し、俺はほっと安堵する。 ギスギスした空気は嫌だからな。取り敢えずこのクラスの中心人物に積極的に話し掛けよう。 そう考えながら窓側で騒ぎさっちゃん先生と軽いやり取りをした男子生徒をちらりと盗み見る。 その男子生徒は俺の視線にしっかり気付いたらしく、周りに気付かれない程度に小さく手を振ってくる。 い、良いやつ過ぎる。 目だけで会釈をすると、さっちゃん先生が喋り始めた。 「趣味やら好き嫌いは後で各自自由に聞け。で、えーとお前の席は何処だ」 さっちゃん先生がキョロキョロと教室を見渡している。 まぁ仕方がないよな。間に合ったのは制服だけで、教科書や生徒証はまだ貰っていない。それなら当然席も準備されてない訳で。 「さっちゃん先生。空き教室に机とか置かれてないんですか?」 「ん?あー、空き教室は有るんだが使わない机と椅子は別に置かれていてな」 直ぐに用意出来ないらしく、さっちゃん先生がどうしたもんかと頭を掻いていると、ドアが無遠慮に開かれる。 「すいませーん。先生に言われて机と椅子持ってきたんですが、ここ置いときますね」 新たに現れた男子生徒はそれだけ言うととっととドアを閉めて廊下の向こうへと歩き出した。
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