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必要な事を伝え終えると、さっちゃん先生はさっさと教室を出ていく。
さっちゃん先生がなんの教科を受け持ってるのかは分からないが、それなりに忙しい身分なのだろう。
1限目までまだ少しだけ時間があるのか、いそいそとトイレに立ったり、雑談をする生徒がちらほらと居る。ちらほら、と言っても静かにしているのは極僅かで、殆どの生徒が騒然としている。
俺は今の内に教科書を貸してくれるよう誰かに頼まなければならないのだが、如何せんこの席は本当の本当に後ろ。1つだけぽつんと飛び出ているのだ。
お隣さんなど居らず、前の人も席を立って仲のいい友人と雑談をしているようだ。
例のクラスの中心的人物はトイレ組なのか、教室内にその姿はない。
どうするかと考えていると、数人の男女混合グループが近づいてきた。
「宮本君?質問いいかな?」
「あぁ、はいどうぞ」
リーダー的ポジションなのか、小さなポニーテールに髪を結わえ、肌の焼けた活発そうな女子生徒が、俺の名前に自信がないのか疑問系で様子を窺うように声を掛けてきた。
丁度いいと思い、三度目の失敗をしまいと気を付けながら返事をする。上手く出来た。
しかし、特に好印象になるような事は言ってないのだが、趣味とかの質問か?
「宮本君!陸上に興味はないかな!?」
何かと思ったら部活の勧誘だった。
なるほど、この女子生徒は陸上部なのか、どうりで肌が焼けているはずだ。
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