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父さんと母さんが温泉巡りに旅立った二日後、母さんが置いてったメモを頼りに親戚の家に到着した。 取り敢えず、インターホンを鳴らして待つ事五秒。ガチャガチャという音と共に母さんの妹らしき人の声がする。 『はい』 ちょっと警戒したような声、まぁ当然か、カメラには見覚えの無い男が映ってるんだから。 「……あー、母さんから頼まれてる息子です」 これだけじゃ説明不足だと思い、母さんの名前と二日前のやり取りを適当にまとめて話すと、途端に声から警戒心が消え去り、明るく人付き合いの上手そうな声に変わる。 『あー!話は聞いてるからどうぞ上がって上がって!』 またガチャガチャという音がして、暫くしてからガチャっと玄関の鍵が回される音がする。 ……それだけだった。 少し迷ったが、上がってと言われて踵を返すのも失礼かと思い、トランクを引いて玄関前まで移動する。 その直後。突然玄関が開いて顔をぶつけ掛けた。 「ごめんねー、娘に中に入れるように言ったんだけど彼女照れ屋でね」 「……それはいいんで玄関もうちょっと開けれません?トランクが何かに引っ掛かってて押せないんで」
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