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という訳で叔母さんの家に来てから三日が経っている。転校手続きとか電話での説得でかなり手間取ってしまった。あの頑固親父め。
昨日の内に実家に戻り、えっちらおっちら漕いで持ってきた自転車を引っ張り出し、ぼんやりと少女が来るのを待つ。
「……お待たせしました」
「おーぅ、乗れ乗れーい。時間無いから飛ばす。落ちるてくれるなあ」
「もう貴方から謝罪の言葉を言わせるのは諦めましたよ私は」
「なんか知らんがお疲れさん」
ため息吐かれた。何故だ?
少女……もとい朱祢(あかね)が後ろに乗ったのをペダルの重さで確認し、足に力を入れて自転車を漕ぐ。
「そういえば何処の学校にしたんですか?昨日いきなりドヤ顔で二人乗りしようと言ってきたからには近いんでしょう?」
「おー、折角だから朱祢と同じ学校にした。叔母さんって結構凄い人と知り合いなのな。お陰で直ぐ転校出来た訳だけど」
「……そうですか」
「もう少し驚いても良くない?『え!?そうなんですか!?』とか結構期待してたんだけど」
「貴方は私に何を期待してるんですか」
「にしても、最初の照れ屋はどこ行ったんだ?三日目にして白い目を向けてくるとか照れ屋じゃないだろぅに」
「それは貴方が!『一緒に寝よう』とか『風呂入ろう』とか!終いには気付かない内にベッドに入るわお風呂に突撃してくるわで気を使うのが馬鹿みたいに思えたからです!」
「それだけ聞くと俺が変態だな。スキンシップなのに」
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