プロローグ

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「――こんな時間まで一体何をしていたんですか」 人でいっぱいであったであろう体育館には、片付けをしている上級生と、その指示をする先生。 そして、わたしと中年教師しかいない。 呆れたような気が抜けたような目の前の教師は、どうやら教頭先生らしい。 今日は地元高校の入学式。 今年度、わたしはここに首席入学した。 「今日が入学式だと、忘れていたのではないでしょう? 高校生になるという自覚を持って行動して貰わなくては……」 「すみませんでした」 もちろん忘れてはいなかったが、寝坊はした。 夢を見ていたから。 寝坊したせいで遅刻は決まっていたので、おとなしく諦めた。 学校までは距離があるし、式の途中で入っていくのはかなり億劫だったからだ。 不良とか言いたい奴は勝手にどうぞ。 そうしてのんびり歩いていたその途中で、泣いている小さな男の子を見つけたわたしは声をかけた。 .
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