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懐かしい温もり #2
『されど、取引はどうなるのだ。私たちは、遣える代わりに、力を喰らうのだから』
潤は長い舌をぺろりと出して、自らの鼻面を舐めた。
『恢濫達が喰らうのは、二体で一体分に満たないだろうな。僅かなものだ』
『喰らってはいるのか』
潤は解せんと言わんばかりに、溜息を吐いた。
『恢濫達は、お前の様に薄い繋がりではないのだ』
もっと親密で、重い関係なのだ、と恢濫は思った。
『あいつとそんな繋がりは欲しくない』
苛々とする。
大切な、命と同じ珠を無理矢理引きずりだされ、無理矢理下された事に。
珠は聖獣の力の源だ。
『お前がそう思う限り、世都も同じ様に思っているだろう』
くすくすと笑い乍、皮肉を恢濫は言った。
『だから、潤の命の珠を欲しなかったのだ』
それを聞いた潤は、ギョッとした。
『まさか、そちらの珠を……』
『世都に預けている』
潤にはそれを渡した恢濫と珪翔が理解出来ない。
『解っているのか?』
『解っている。そして、恢濫達は進んでそれを望んだのだ。まだ何も解らぬ幼い世都に』
増す増す潤には理解が出来ないでいた。
『自殺行為だろう。奴が死んだら、お前達も消えてしまうんだぞ』
『解っていると言っているだろう』
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