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瑶は一向に変わらない、いつもと同じ様子だ。
「怒らないの? 問い詰めないの?」
世都が言う意味は瑶には解る。世都は瑶が止めるのも聞かず、棲伽(セイカ)へと行った。それについての事だと云う事を。
「その事を話す為に来たんでしょ?」
「うん……」
世都は俯いて、小さな声で答えた。
「それなら、話を促す必要は無いよ。だって世都はその為に来たんだから」
柔和な笑みを浮かべ、先日同様に床に座った。
「瑶さん、心配を掛けて御免なさい……」
世都から最初に出た言葉。それは謝罪だった。ずっと引っ掛かっていたのだろう。
「そうだね。こんなに無鉄砲な世都は初めてだ。僕は世都が帰ってくるまで気が気では無かったよ」
カップの中身を一啜りした瑶は、手にしたソーサーにカップを置いた。
「身一つだから怪我、したんでしょ? 治してもらったの?」
「うん。潤に遣らせた」
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