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「知ってるわよ。どんな人か知らないけど、仕方ないのだけど、でも嫌なのよ、それも」
だから、と言って、悠希は擁耀を見上げた。その表情は今にも泣きだしそうだ。
「必要が無いなら、言わないで。お願い……」
『悠希は、独占欲が強いのか?』
悠希の不器用さを知っていて、擁耀はからかう様に笑みを浮かべ乍言った。
「きっと、きっとそうよ。ねぇ、お願い。出来るなら、出来るなら……」
悠希はそれ以上は言わずに、擁耀に頭を預けた。切望する悠希に擁耀は解ったとだけ返した。
『悠希、世都が元気になって良かったな』
うん、と小さな声で返した悠希は、世都の復帰に安堵している様だ。
世都達の怪我を目の当りにした悠希は、今まで見たことが無い程に半狂乱になった。
一番ダメージを受けた珪翔はまさに虫の息。つられる様に、世都も恢濫もがたがたと崩れ落ちた。幸い、相手もかなりの痛手で有った為、まるで隙を付いて逃げるかの様に退散していった。
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