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相手の聖獣を率いていた人型の聖獣は、憎々しげな表情をしていた。
それを確認した風伎は世都の額に口付けをして、またね、と言い終えてから柔らかな風に包まれて姿を消した。
「擁耀、あの時の聖獣を知っている?」
悠希はずっと抱いていた疑問を擁耀に投げ掛けた。
『擁耀は、知らない』
まるで考え込むかの様に、悠希の髪を指で弄び乍、天を仰いだ。
『世都の知り合いの様だが』
「みたいね……」
言って、悠希は擁耀の胸に顔を埋めた。
なんだか、鼻が痛くなったから……。
『悠希、近しい人間でも、知らないことや解らないことは有る。気に病むことはない』
「解ってるわよ。ただ、まだ解り合えないことが有ったんだって……。思っただけよ」
『思っただけか?』
「そうよ。いけないの?」
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