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『いけないとは、言っていないでしょ?』
表情を崩し、擁耀は悠希の頭に顔を埋めた。
髪に降ったフレグランスの香りがする。
『お風呂、入ってきたら?』
「瑶さんの所に行ってからにするわ。擁耀が先に行ってらっしゃいよ」
自然に体を離し、悠希は笑顔で言った。
『そうするかなぁ』
世都の浴室では浸かっただけで洗ってはいない。折角なのだから、洗って綺麗になりたいと思った。
うん、と伸びをすると、背の高い聖獣は更に大きさを増した。しかし、威圧感は全く無く、包み込まれそうな温もりがある。
『世都も居るかもね』
口元を緩め見つめる擁耀は、悠希の様子を愉しんでいるように見える。
そんな擁耀を横目で見て、悠希は瞳を閉じた。
「居ても、悪くないじゃない」
何とでもないと云わん表情をして、悠希はそう言った。
『そうだね』
目を細めた擁耀はやはり愉しそうだ。強がりなのが解るから。
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