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「擁耀の意地悪」
『そう?』
擁耀は嘯(ウソブ)いてみせた。そんな擁耀を悠希は解っている。だから、怒らないのだ。反応を愉しんでいるのが解るから。
「悪趣味よね。私を怒らせても何も愉しくないでしょうに」
『そんなこと無いよ。大好きな悠希の怒った顔、見たくなるんだ』
「やはり、悪趣味ね」
ツンとしながら言って、悠希は部屋の出口へと向かった。
『どこに行くの?』
「瑶さんの所よ。言ったでしょ」
擁耀を見ようとせず、足すら止めない悠希に苦笑いをし乍、擁耀は愛してるよ、と言った。しかし、悠希は無視でもするように、何も言わず、振り返らずに部屋を出ていった。
『からかい過ぎちゃったかな』
首を横に倒し、擁耀は少し反省をしているかに見える。しかし、表情は笑っていた。
『うーん、疲れたぁ』
大きく伸びをした擁耀は、引き出しから必要品を取り出し、部屋を出ていった。
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