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瑶(ヨウ)の部屋に来た世都は、ハイネックのシャツにサロペットを着ていた。
肩紐は右側を外しているので、かなりラフに見える。しかし、それには理由が有った。
普通のパンツは腰が擦れる。しかし、サロペットならそれが比較的避けられ、蔦の有る右肩の紐を外す事が出来るから。
故に、世都の私服にはサロペットが多い。
世都は片方外した肩紐を弄りながら、先日と同じソファーに座っていた。
「世都、どうぞ」
部屋に来てから何も話さない世都に、瑶(ヨウ)はただ紅茶を勧めた。
「お茶菓子にロシアンケーキはどう?」
見た目はクッキーの様なそれは、ケーキと言うには遠い。しかし、まるでそれの様に華やかに、ジャムが真ん中に配してあったり、ナッツを散りばめたりしてある。
瑶は皿に盛ったそれを机の真ん中に置いた。
「瑶さん……」
世都は遠慮がちに、動揺を表しながら声を掛けた。
「何?」
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